『おくのほそ道』 「日光」 舞台:日光(栃木県) 成立:1702年刊(1689年の旅) 作者:松尾芭蕉 ―――――――――――――――――――――――― 【原文】 あらたふと青葉若葉の日の光 【現代語訳(抄訳)】 卯月朔日(四月一日)、日光の御山に参詣する。昔、この御山を「二荒山」と書いたのを、空海大師が開基されたときに「日光」と改められた。千年後の未来を見通されていたのだろうか、今この御山の威光は天下に輝き、その恵みは国の隅々まであふれて、士農工商、すべての民が安らかに暮らしている。これ以上は、恐れ多くて筆をさしおく。 「あらたふと青葉若葉の日の光」(ああ尊いことだ。日光の山の青葉や若葉に、明るい日の光が降り注いでいる) 「日の光」には、日光という地名と、徳川家康を祀る東照宮の威光とが重ねられている。 * 黒髪山(男体山)は、霞がかかって、雪がまだ白く残っている。 「剃り捨てて黒髪山に衣更」曾良(旅立ちにあたって髪を剃り捨て、墨染めの衣に着替えたが、黒髪山のふもとで、ちょうど衣更えの日を迎えた) 曾良は、河合氏で、名を惣五郎という。芭蕉庵の近くに住み、私の炊事の手伝いをしてくれていた。今度、松島・象潟の眺めを共に見ることを喜び、また旅の苦労をいたわろうと、旅立ちの朝、髪を剃って墨染めの衣に着替え、名も宗悟と改めた。それで黒髪山の句を詠んだのである。「衣更」の二字には力がこもっている。 二十余町、山を登っていくと滝がある。岩の洞穴の頂上から飛ぶように流れ落ちて、百尺ほどの高さから、千の岩が重なった青い滝壺に落ち込んでいる。岩窟に身をひそめて入って、滝の裏側から見るので、「裏見の滝」と言い伝えている。 「しばらくは滝にこもるや夏の初め」(しばらくの間、滝の裏の岩屋にこもって、夏の修行の始まりのような気持ちでいる) ―――――――――――――――――――――――― 地点メモ:「あらたふと青葉若葉の日の光」。 出典作品:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%BB%E3%81%9D%E9%81%93