更級日記

菅原孝標女 1060年頃

概要

菅原孝標女が50歳を過ぎてから、13歳からの約40年を振り返って書いた回想記。上総から京への旅、物語に夢中になった少女時代、姉や乳母の死、宮仕え、結婚、夫の死、そして仏の救いへの思いへと続く。書名は、晩年の歌「月も出でで闇にくれたる姨捨に」にちなみ、姨捨山のある信濃の更級からとったといわれる。

時代背景

作者は菅原道真の子孫で、父は上総の国司として赴任していた。母の姉は『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱母。『源氏物語』が書かれてから十数年後、物語の写本が貴族の家で回し読みされていた時代で、地方に暮らす少女にとって物語は手の届かない憧れだった。夢と現実のずれを抱えて生きた一人の女性の記録として読める。

読みどころ

  1. 旅立ち「物語を全部読ませてください」と祈ってきた等身大の薬師仏を残して、家を発つ。振り返って泣く少女。「門出」を読む →
  2. 足柄山の遊女暗い山中に現れた三人の遊女が見事に歌い、また闇へ去っていく。旅の一夜の幻のような場面。「足柄山」を読む →
  3. 富士川の不思議川上から流れてきた紙に、翌年の国司の名が書かれていたという話。「富士川」を読む →
  4. 源氏の五十余巻念願の『源氏物語』を手に入れ、几帳の内で昼も夜も読みふける。「后の位も何にかはせむ」。「物語」を読む →