宇治拾遺物語

編者未詳 13世紀前半

概要

鎌倉時代前期に成立した197話の説話集。題は、宇治大納言源隆国の『宇治大納言物語』に漏れた話を拾い集めた、という意味とされる。仏教の話と世俗の話が分類されずに並び、滑稽な話、不思議な話、人情話が入りまじる。仮名まじりのやわらかな文章で、話の面白さそのものを楽しむ姿勢が強い。

時代背景

武家政権が成立し、貴族社会がかつての栄華を懐かしむようになった時代。『今昔物語集』と共通する話も多いが、教訓よりも笑いや人間味に重心が移っている。「こぶ取り爺」「腰折れ雀」「わらしべ長者」など、のちに昔話として広まる話の古い形がここに残る。

読みどころ

  1. 児のそら寝比叡山の稚児が、ぼた餅ができるのを寝たふりで待ち、起こされる機会を逃してしまう。誰にでも覚えのある小さな見栄。「児のかい餅するに空寝したる事」を読む →
  2. わらしべ長者観音のお告げで握った一本の藁が、蜜柑、布、馬へと変わり、ついには田と家になる。「長谷寺参籠の男、利生にあづかる事」を読む →
  3. こぶ取り爺鬼の宴で踊った翁は瘤を取ってもらい、まねをした隣の翁は瘤を二つにされる。昔話の原形に出会う楽しさ。「鬼に瘤取らるる事」を読む →