風姿花伝
世阿弥 1400年頃
概要
世阿弥が父・観阿弥の教えをもとにまとめた能の理論書。「年来稽古条々」で7歳から50歳過ぎまで年齢ごとの稽古を説き、ものまね、問答、能の起源などの篇を経て、「別紙口伝」で、観客の心に新鮮な感動(花)を起こすための秘伝を明かす。もとは一族にのみ伝える秘伝書で、広く知られるようになったのは20世紀に入ってからである。
時代背景
観阿弥・世阿弥父子は大和猿楽の座に属し、奈良の興福寺・春日大社の祭礼に奉仕していた。1374年ごろ、京の今熊野での上演を見た若い将軍足利義満に認められ、世阿弥は義満の寵愛を受ける。将軍や貴族という目の肥えた観客を前に、猿楽を洗練された芸術に高めていったのが世阿弥の仕事だった。
読みどころ
- 時分の花少年の愛らしさや若さゆえの花は、本物の花ではない。年齢と芸の関係を、ここまで具体的に書いた書は少ない。「年来稽古条々」を読む →
- 秘すれば花「秘する花を知ること。秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」。観客の意表をつくことの大切さ。「年来稽古条々」を読む →
- 観客を読むその日の客席の空気、時刻、場の気分を見て演じ方を変えよ、と説く。現代の舞台やプレゼンにも通じる実践知。