義経記

作者未詳 室町時代前期

概要

全8巻。源義経の一代記だが、平家との合戦はほとんど描かず、鞍馬での少年時代と奥州への下向、そして兄頼朝と不和になってからの逃避行と最期に多くを費やす。弁慶との出会い、静御前との吉野での別れ、北国落ちの苦難、平泉・衣川での自害が語られる。

時代背景

室町時代前期、各地で語られていた義経と弁慶の伝説がまとめられて成立したとみられる。勝者としての義経より、追われる者としての義経に心を寄せる視点が強く、この物語が「判官びいき」の感情を育てた。物語は能・幸若舞・浄瑠璃・歌舞伎の題材となり、『勧進帳』『義経千本桜』などへ広がっていった。

読みどころ

  1. 鞍馬の牛若寺に預けられた少年が、父の仇を討とうと志し、夜ごと山で武芸を磨く。「牛若鞍馬入りの事」を読む →
  2. 腰越状鎌倉に入ることを許されない義経が、兄への思いを綴った手紙。「腰越の申状の事」を読む →
  3. 静との別れ雪の吉野山で静御前と別れる。捕らえられた静は、のちに鎌倉で頼朝の前で舞う。「吉野山の事」を読む →
  4. 如意の渡正体を怪しまれた義経を、弁慶が扇で打ち据えて切り抜ける。『勧進帳』の原型。「如意の渡にて義経を弁慶打ち奉る事」を読む →
  5. 衣川館を囲まれた義経の自害と、最後まで戦う弁慶。「衣川合戦の事」を読む →