京・三条大橋

六編(京見物)

伊勢から大和路を経て、弥次さん喜多八は、ついに京の都にたどり着いた。東海道の終点、三条大橋である。

二人は、京の町を見物して回った。清水寺、祇園、知恩院、三十三間堂、東西の本願寺、北野天満宮。何もかもが、江戸とは違って珍しい。

京の人々は、言葉がやわらかく、物腰も上品である。しかし、江戸っ子の二人は、京の人々の遠回しな言い方や、「京の着倒れ」と言われる見栄っ張りな気風に、何かと戸惑う。

二人は、清水寺の舞台から身を乗り出して景色を眺めたり、祇園の茶屋で遊んだりしたが、京の人々に、すっかりからかわれてしまう。宿で、京の人が「ぶぶ漬け(お茶漬け)でもどうどす」と言うのを、本当にごちそうしてくれるのだと思って待っていたら、それは「そろそろお帰りください」という意味だった、という話も、京の人々の気風を表すものとしてよく知られている。

また、喜多八が、京の名物を買おうとして、偽物をつかまされたり、弥次さんが、江戸の自慢話をして、京の人に笑われたりと、ここでも失敗が続く。

それでも、二人は、京の都の美しさと、千年の歴史を持つ文化に、心を打たれた。鴨川の流れ、東山の緑、寺々の鐘の音。江戸では決して味わえない、都の風情であった。

三条大橋のたもとには、今も、弥次さん喜多さんの像が立っていて、東海道五十三次を歩き通した旅人たちを迎えている。二人は、このあと大坂へと向かい、さらに、金毘羅参り、宮島参り、木曽路、善光寺参りと、旅を続けていく。

京・三条大橋 続編で京見物。
要確認:細部に記憶違いを含むおそれがあります。
← 前伊勢神宮