神武天皇の即位

中巻「神武天皇の即位」

大和に入ったイワレビコは、宇陀の兄宇迦斯や、忍坂の土雲たち、そして兄の仇である登美毘古を次々に討ち平らげた。天から降っていた邇芸速日命もやって来て、「天つ神の御子が天降られたと聞き、後を追って参りました」と、天つ神の子である証の宝を献上して仕えた。

こうして荒ぶる神々を服従させ、従わない者たちを払い平らげて、イワレビコは畝火(畝傍山)のふもとの白檮原宮で天下を治めた。これが初代の神武天皇である。

さて、天皇が皇后にふさわしい乙女を求めていると、大久米命が「神の御子と言われる乙女がおります」と申し上げた。三輪の大物主神が美しい乙女のもとに丹塗りの矢となって通い、生まれた娘、イスケヨリヒメである。

ある日、七人の乙女が高佐士野で遊んでいた。その中にイスケヨリヒメがいた。大久米命が歌で「どの乙女を妻になさいますか」と問うと、天皇は先頭に立っている乙女を見定めて歌で答えた。大久米命がそのことを伝えに行くと、姫は大久米命の入れ墨をした鋭い目を見て不思議がり、「どうしてそんなに目尻を裂いた鋭い目をしているの」と歌で問いかけた。大久米は「お嬢さんを直に見つけ出そうとして、目を鋭くしているのです」と歌で返した。

姫は天皇に仕えることを承知し、狭井河のほとりの家で一夜を共にした。のちに姫は宮中に迎えられ、皇后となった。

橿原 神武天皇が即位したと伝える地。
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