夜になると物の見ばえがしないと言う人は、たいへん残念だ。あらゆる物のきらびやかさ、飾り、色合いも、夜こそすばらしい。昼は簡素で、地味な姿でもよいだろう。夜はきらびやかで華やかな装束がたいへんよい。人の様子も、夜の灯影で見ると、よい人はいっそうよく見え、話す声も、暗い中で聞いて、心づかいのあるのは奥ゆかしい。においも楽器の音も、ただ夜こそひときわすばらしい。
これといって特別なことのない夜、夜ふけて参上した人が、こざっぱりとした様子をしているのは、たいへんよい。若い人どうしで気をつけて見ている人は、時を問わないものなので、とくにくつろいでいてよさそうな時こそ、ふだんも晴れの時も区別なく、身なりをととのえたいものだ。りっぱな男が日が暮れてから髪を洗い、女も夜ふけに、そっと席をはずしては、鏡を手にとって顔などをととのえて出てくるのは、趣がある。