第157話近世小説抄訳・要確認
第九輯(八犬士の結集と関東大戦)
伏姫の死から長い年月が過ぎ、八つの玉を持って生まれた八犬士たちは、それぞれ関東各地で、数奇な運命をたどりながら成長していった。
犬塚信乃(孝)、犬川荘助(義)、犬山道節(忠)、犬飼現八(信)、犬田小文吾(悌)、犬江親兵衛(仁)、犬坂毛野(智)、犬村大角(礼)。八人は、みな体のどこかに牡丹の形のあざを持ち、それぞれの玉を大切に持っていた。
八犬士たちは、各地で出会い、別れ、また巡り会いながら、互いが同じ宿縁で結ばれた兄弟であることを知っていった。そして、ついに八人全員がそろって、安房の里見家のもとに集結した。里見義実の子、義成は、八犬士を家臣として迎え入れ、それぞれに里見家の姫を娶らせた。
その頃、関東管領の扇谷上杉定正と山内上杉顕定を中心に、関東の諸大名が連合して、里見家を滅ぼそうと大軍を差し向けてきた。いわゆる「関東大戦」である。
八犬士たちは、それぞれ一軍の将となって、水陸から攻め寄せる敵を迎え撃った。行徳口、国府台、洲崎の海戦と、各地で激しい戦いが繰り広げられた。八犬士たちは、知略と武勇を尽くして、連合軍を打ち破り、里見家を勝利に導いた。
戦いの後、八犬士たちは、里見家の重臣として、安房の国の繁栄に尽くした。そして、年月を経て、里見家の行く末を見届けると、八人そろって富山に入り、仙人となって姿を消したという。
館山城は、里見氏の居城として、安土桃山時代に築かれた城である。今の天守は、昭和五十七年に再建されたもので、中は「八犬伝博物館」となっていて、八犬伝の世界を紹介している。