今昔物語集
編者未詳 1120年頃
概要
全31巻(うち3巻は欠)、千余話を収める日本最大の説話集。天竺(インド)・震旦(中国)・本朝(日本)の三部からなり、本朝はさらに仏法と世俗に分かれる。どの話も「今は昔」で始まり、「となむ語り伝へたるとや」で結ばれる。仏教の霊験だけでなく、盗賊、武士、鬼、狐、庶民の機知まで、あらゆる人間を描く。
時代背景
院政期、12世紀前半に成立したと考えられる。都では摂関家の力が揺らぎ、地方では武士が力をつけはじめていた。治安は悪く、平安京の正門・羅城門も荒れ果てていた。編者は不明だが、膨大な説話を三国の仏法の歴史として体系的に並べようとした意図がうかがえる。長く埋もれていたが、近代に芥川龍之介らによって再発見された。
読みどころ
- 羅城門の老婆荒れた門の上で、死人の髪を抜く老婆。その着物をはいで逃げる盗人。芥川『羅生門』の典拠。「羅城門の上層に登りて死人を見る盗人の語」を読む →
- 芋粥「芋粥を飽きるほど食べたい」とつぶやいた五位が、敦賀まで連れて行かれる。願いが叶うことのおかしさと怖さ。「利仁将軍、若き時京より敦賀に五位を将て行く語」を読む →
- 道成寺若い僧に恋をした女が大蛇となり、鐘の中に隠れた僧を焼き殺す。能・歌舞伎の「道成寺もの」の源流。「紀伊国道成寺の僧、法花を写して蛇を救ふ語」を読む →
- 姨捨山妻にせかされて育ての伯母を山に捨てた男が、月を見て思い直す。「わが心なぐさめかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」。「信濃国の姨母棄山の語」を読む →