雨月物語
上田秋成 1776年
概要
1776年刊、5巻9編の読本。「白峯」「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津の釜」「蛇性の婬」「青頭巾」「貧福論」。中国の白話小説や日本の古典を下敷きにしつつ、日本の土地と歴史に移し替えて、怨念・愛執・信義など、人の心の極みを怪異として描く。書名は、雨がやみ月がおぼろな夜に書き上げた、という序の言葉による。
時代背景
上田秋成は大坂の紙油商の養子として育ち、国学を学び、のちには医者もした。18世紀の大坂・京都では中国の白話小説が流行し、それを翻案する「読本」が生まれた。本作はその初期の傑作で、雅な和文に漢語を交えた文体が特色。秋成はのちに本居宣長と論争したことでも知られる。
読みどころ
- 白峯西行が崇徳院の陵を訪ねると、怨霊となった院が現れ、天下を乱すと語る。二人の問答の迫力。「白峯」を読む →
- 菊花の約再会を約束した義兄弟が、捕らわれて帰れず、自ら命を絶って魂となり、約束の日にやってくる。「菊花の約」を読む →
- 浅茅が宿戦乱で帰れなかった夫が七年後に戻ると、荒れた家で妻が待っていた。翌朝、目覚めた夫が見たものは。「浅茅が宿」を読む →
- 吉備津の釜裏切られた妻の怨霊が夫を追いつめる。最後の一夜の恐ろしさは、日本の怪談のなかでも屈指。「吉備津の釜」を読む →