魚沼郡の内にて縮をいだす事一様ならず、村によりて出す品にさだめあり。こは自らむかしより其品にのみ熟練して他の品に移らざるゆゑ也。其所その品を産す事左のごとし。
▲白縮は堀の内町在の村々(これを堀の内組といふ)又浦佐組小出嶋組の村々 ▲模様るゐ或は飛白いはゆる藍錆といふは塩沢組の村々 ▲藍綅は六日町組の村々 ▲紅桔梗縞のるゐは小千谷組の村々 ▲浅黄繊のるゐは十日町組の村々也。又紺の弁慶縞は高柳郷にかぎれり。右いづれも魚沼一郡の村々也。此余ちゞみを出す所二三ヶ村あれど、専らにせざればしばらく舎てしるさず。縮は右村里の婦女らが雪中に籠り居る間の手業也。およそは来年売べきちゞみをことしの十月より糸をうみはじめて次の年二月なかばに晒しをはる。白縮はうち見たる所はおりやすきやうなれば、たゞ人は文あるものほどにはおもはざれども、手練はよく見ゆるもの也。村々の婦女たちがちゞみに丹精を尽す事なか〳〵小冊には尽しがたし。其あらましを下に記せり。