百十六 石打明神

北越雪譜 原文
原文現代語訳

小千谷の内農人某(なにがし)の地面に小社あり石打明神といふ。昔より祀(まつ)る処(ところ)也、その縁起(ゑんぎ)は聞(きゝ)もらせり。贅肉(いぼ)あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを撫(なで)、社の椽(えん)の下の𥴩子(かうし)の内へ投(なげ)いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。さてなげいれたる小石、いかなる形なりともいつとなく人の円(まる)めたるごとく円石(まるきいし)となるも又奇妙ふしぎなり。されば社のえんの下に大小の円石(まるいし)満(みち)みちたり。

○百樹曰、余(よ)も小千谷に遊びし時、此石を視(み)て話柄(はなしのたね)に一ツ持帰(もちかへら)んとせしに、所の人のいふやう、此神是石(このいし)を惜(をし)み玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし、つら〳〵視(み)たるに数万の石人の磨(すり)なしたる玉のごとし。凡(すべて)神妙(じんめう)は肉知(にくち)を以て測(はかる)べからず。

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