小千谷の内農人某の地面に小社あり石打明神といふ。昔より祀る処也、その縁起は聞もらせり。贅肉あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを撫、社の椽の下の𥴩子の内へ投いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。さてなげいれたる小石、いかなる形なりともいつとなく人の円めたるごとく円石となるも又奇妙ふしぎなり。されば社のえんの下に大小の円石満みちたり。
○百樹曰、余も小千谷に遊びし時、此石を視て話柄に一ツ持帰んとせしに、所の人のいふやう、此神是石を惜み玉ふといひつたふときゝて取たるをもとの処へかへし、つら〳〵視たるに数万の石人の磨なしたる玉のごとし。凡神妙は肉知を以て測べからず。