人は自分の身を慎ましくして、贅沢を退け、財産を持たず、世の名利をむさぼらないのが立派である。昔から、賢い人で裕福だった人はまれである。
中国の許由という人は、身のまわりにまったく蓄えもなく、水さえ手ですくって飲んでいたのを見て、ある人がひょうたんを与えた。ある時それを木の枝に掛けておいたところ、風に吹かれて鳴ったので、うるさいと言って捨ててしまった。そしてまた手ですくって水を飲んだ。どれほど心の中がすがすがしかったことだろう。孫晨は冬に夜具がなく、藁がひと束あったのを、夜はこれに寝て、朝には片づけた。中国の人はこれをすばらしいと思ったからこそ、書き記して後の世にも伝えたのだろう。日本の人なら、こんなことは語り伝えもしないだろう。