天孫降臨

上巻「天孫降臨」
原文
此地は韓国に向ひ、笠沙の御前を真来通りて、朝日の直刺す国、夕日の日照る国なり。故、此地は甚吉き地

国譲りが成ると、天照大御神と高木神は、天照の孫にあたるニニギノミコトに地上へ降るよう命じた。ニニギが降りようとすると、天の八衢(分かれ道)に、上は高天原を、下は葦原中国を照らす神が立っていた。これが国つ神のサルタヒコで、天つ神の御子の先導役を務めるために迎えに出てきたのだった。

ニニギには、アメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメなど五つの部族の長が従った。さらに、天の岩戸の前で天照を招き出した八尺の勾玉と鏡、そして草那芸剣が授けられた。思金神、手力男神らも付き従った。天照は「この鏡を私の魂と思って、私を拝むように祀りなさい」と告げた。

こうしてニニギは天の石の座を離れ、幾重にもたなびく雲を押し分け、道をかき分けかき分けして、天の浮橋からそびえ立つように降り立った。そこが筑紫の日向の高千穂のくじふる嶺である。

ニニギはこの地を見渡して言った。「ここは韓国に向かい、笠沙の岬にまっすぐ通じていて、朝日がまっすぐに差し、夕日が照り輝く国である。だからここはたいへんよい土地だ」。そして地の底の岩盤に太い宮柱を立て、高天原に届くほど千木を高くそびえさせた宮殿に住んだ。

高千穂 ニニギノミコトの天孫降臨の地とされる(霧島の高千穂峰説もある)。
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