四 雪意

北越雪譜 原文
原文現代語訳

我国の雪意(ゆきもよひ)は暖国(だんこく)に均(ひと)しからず。およそ九月の半(なかば)より霜を置(おき)て寒気次第(しだい)に烈(はげし)く、九月の末に至(いたれ)ば殺風(さつふう)肌(はだへ)を侵入(をかし)て冬枯(ふゆがれ)の諸木(しよぼく)葉(は)を落(おと)し、天色(てんしよく)霎(せふ〳〵)として日の光(ひかり)を看(み)ざる事連日(れんじつ)是雪の意(もよほし)也。天気朦朧(もうろう)たる事数日(すじつ)にして遠近(ゑんきん)の高山(かうざん)に白(はく)を点(てん)じて雪を観(み)せしむ。これを里言(さとことば)に嶽廻(たけまはり)といふ。又海(うみ)ある所は海鳴(うみな)り、山ふかき処は山なる、遠雷の如し。これを里言に胴鳴(どうな)りといふ。これを見これを聞(きゝ)て、雪の遠(とほ)からざるをしる。年の寒暖(かんだん)につれて時日(じじつ)はさだかならねど、たけまはり・どうなりは秋の彼岸(ひがん)前後(ぜんご)にあり、毎年(まいねん)かくのごとし。

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