五 雪の用意

北越雪譜 原文
原文現代語訳

前(まへ)にいへるがごとく、雪降(ふら)んとするを量(はか)り、雪に損(そん)ぜられぬ為(ため)に屋上(やね)に修造(しゆざう)を加(くは)へ、梁(うつばり)柱(はしら)廂(ひさし)(家の前の屋翼(ひさし)を里言(りげん)にらうかといふ、すなはち廊架(らうか)なり)其外すべて居室(きよしつ)に係(かゝ)る所力(ちから)弱(よわき)はこれを補(おぎな)ふ。雪に潰(つぶさ)れざる為(ため)也。庭樹(にはき)は大小に随(したが)ひ枝(えだ)の曲(まぐ)べきはまげて縛束(しばりつけ)、椙丸太(すぎまるた)又は竹を添(そ)へ杖(つゑ)となして枝(えだ)を強(つよ)からしむ。雪折(をれ)をいとへば也。冬草(ふゆくさ)の類(るゐ)は菰筵(こもむしろ)を以覆(おほ)ひ包(つゝ)む。井戸は小屋を懸(かけ)、厠(かはや)は雪中其物を荷(になは)しむべき備(そなへ)をなす。雪中には一点(てん)の野菜(やさい)もなければ家内(かない)の人数(にんず)にしたがひて、雪中の食料(しよくれう)を貯(たくは)ふ。(あたゝかなるやうに土中にうづめ又はわらにつゝみ桶に入れてこほらざらしむ)其外雪の用意(ようい)に種々(しゆ〴〵)の造作(ざうさ)をなす事筆(ふで)に尽(つく)しがたし。

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