八 雪竿

北越雪譜 原文
原文現代語訳

高田(たかた)御城(しろ)大手先の広場(ひろば)に、木を方(かく)に削(けづ)り尺を記(しる)して建(たて)給ふ、是を雪竿(さを)といふ。長一丈也。雪の深浅(しんせん)公税(こうぜい)に係(かゝ)るを以てなるべし。高田の俳友(はいいう)楓石子(ふうせきし)よりの書翰(しよかん)に(天保五年の仲冬)雪竿を見れば当地の雪此節(せつ)一丈に余(あま)れりといひ来(きた)れり。雪竿といへば越後の事(こと)として俳句(はいく)にも見えたれど、此国に於て高田の外无用(むよう)の雪竿(さを)を建(たつ)る処(ところ)昔はしらず今はなし。風雅(ふうが)をもつて我国に遊(あそ)ぶ人、雪中を避(さけ)て三夏(か)の頃(ころ)此地を踏(ふむ)ゆゑ、越路(こしぢ)の雪をしらず。然(しか)るに越路(こしぢ)の雪を言(こと)の葉(は)に作意(つくる)ゆゑたがふ事ありて、我国の心には笑(わら)ふべきが多(おほ)し。

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