四十四 天の網

北越雪譜 原文
原文現代語訳

およそ人(ひと)悪をなして天罰(てんばつ)に漏(もれ)ざる事、魚(うを)の網(あみ)にもれざるがごとくなるゆゑ、これをたとへて天の網(あみ)といふめり。新潟(にひがた)より三里上りて赤塚(あかづか)村といふあり、山のところ〴〵に凹(くぼみ)をなしたるあり、こゝに杙(くひ)をたてゝ細糸(ほそいと)の網(あみ)をはりて鳥をとる、これを里言に赤塚(あかづか)の天の網といふ。此村に潟(かた)あるゆゑ、水鳥潟(かた)を慕(した)ひてきたり、山の凹(くぼみ)を飛(とび)きたり、かならず天の網にかゝる。大抵は𪃈(あぢ)といふ鴨(かも)に似(に)たる鳥也、美味(びみ)なるゆゑ赤塚の冬至鳥(とうじとり)とて遠(とほ)く称美(しようび)す。𪃈𪇊(あぢかも)といふべきを省(はぶ)けるならん、あぢかもとは古哥(こか)にもあまたよめり。

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