前にもしば〳〵いへるごとく、北国中にして越後は第一の雪国なり。その中にも魚沼・古志・頸城の三郡を大雪とす。毎年一丈以上の雪中に冬をなせども寒気は江戸にさまでかはる㕝なしと、江戸に寒中せし人いへり。五雑組にいへる霜は露のむすぶ所にして陰なり、雪は雲のなす所にして陽なりとはむべなり。かゝる雪中なれども夏の儲に蒔たる野菜のるゐも雪の下に萌いでゝ、その用をなす㕝おそきとはやきのたがひはあれども暖国にかはる㕝なし。その遅きとは三月にはじめて梅の花を見、五月の瓜・茄子を初物とす。山中にいたりては山桜のさかり四月のすゑ五月にいたる所もあるなり。
百一 雪霜
北越雪譜 原文
原文現代語訳