十一 白川の關

おくのほそ道 原文
原文現代語訳

心許(こころもと)なき日かず重(かさな)るまゝに、白川(しらかは)の關(せき)にかゝりて旅心(たびごころ)定(さだま)りぬ。いかで都へと便(たより)求(もとめ)しも斷(ことわり)也。中(なか)にも此關(このせき)は三關(くわん)の一にして、風騷(ふうさう)の人心をとゞむ。秋風(あきかぜ)を耳に殘し、紅葉(もみぢ)を俤(おもかげ)にして、青葉(あをば)の梢(こずゑ)猶(なほ)あはれ也。卯(う)の花(はな)の白妙(しろたへ)に、茨(いばら)の花(はな)の咲(さき)そひて、雪(ゆき)にもこゆる心地(ここち)ぞする。古人(こじん)冠(かんむり)を正(ただ)し衣裝(いしやう)を改(あらため)し事など、清輔(きよすけ)の筆(ふで)にもとゞめ置(おか)れしとぞ。

卯の花をかざしに關(せき)の晴着(はれぎ)かな 曾良

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