第164話暮らし・民俗抄訳・要確認
西の関脇・但州城崎(番付解説・伝承)
西の関脇に据えられたのは、但州(兵庫県北部)の城崎の湯である。
城崎の湯の起こりについては、二つの話が伝わっている。
一つは、コウノトリの伝説である。昔、舒明天皇の御代に、一羽のコウノトリが、傷ついた足を、田の中に湧き出る湯に浸けて癒やしていた。これを見た土地の人々が、この湯の力を知ったという。この湯は、のちに「鴻の湯」と名づけられた。
もう一つは、奈良時代の養老年間、道智上人という僧が、この地で千日間の修行を行い、その功徳によって湯が湧き出したという話である。道智上人が開いたと伝えられる温泉寺は、今も城崎の町を見下ろす山の中腹に建っている。
城崎は、円山川の支流の大谿川に沿って、柳並木と石橋が続く湯の町である。町には、いくつもの外湯(共同浴場)があり、湯治客は、宿の浴衣を着て、下駄を鳴らしながら外湯を巡り歩いた。
江戸時代には、京や大坂の医者たちが、城崎の湯の効能を説いたこともあって、遠方からも多くの湯治客が訪れた。