五 佛五左衞門

おくのほそ道 原文
原文現代語訳

卅日(みそか)日光山の麓(ふもと)に泊る。あるじの云(いひ)けるやう、「我(わが)名を佛五左衞門と云(いふ)。萬(よろづ)正直を旨とする故に、人かくは申侍(まをしはべる)まゝ一夜の草の枕も打解(うちとけ)て休み給へ」と云(いふ)。いかなる佛の濁世塵土(ぢよくせぢんど)に示現(じげん)して、かゝる桑門(さうもん)の乞食(こつじき)順禮(じゆんれい)ごときの人をたすけ給ふにやと、あるじのなす事に心をとゞめてみるに、唯(ただ)無智無分別にして正直偏固(へんこ)の者也。剛毅木訥(がうきぼくとつ)の仁(じん)に近きたぐひ、氣稟(きひん)の清質(せいしつ)尤(もつとも)尊ぶべし。

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