四十 全昌寺

おくのほそ道 原文
原文現代語訳

大聖持の城外、全昌寺といふ寺にとまる。猶(なほ)加賀の地也。曾良も前の夜、此(この)寺に泊(とまり)て、

終宵(よもすがら)秋風聞(きく)やうらの山

と殘す。一夜の隔(へだて)千里に同じ。吾も秋風を聞(きき)て衆寮(しゆれう)に臥(ふせ)ば、明ぼのゝ空近う讀經(どきやう)聲(こゑ)すむまゝに、鐘板(しようばん)鳴(なつ)て食堂(じきだう)に入(いる)。けふは越前の國へと心早卒(さうそつ)にして堂下(だうか)に下(くだ)るを、若き僧ども紙硯をかゝえ、階(きざはし)のもとまで追來(おひきた)る。折節(をりふし)庭中の柳散れば、

庭掃(はい)て出(いで)ばや寺に散(ちる)柳(やなぎ)

とりあへぬさまして草鞋(わらぢ)ながら書捨(かきすて)つ。

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