山口、飯豊、附馬牛の荒川東禅寺と火渡(ひわたり)、青笹の中沢、そして土淵村の土淵――これらの土地には、どこも「ダンノハナ」という地名がある。そしてその近くには、必ずそれと向かい合うように「蓮台野(れんだいの)」という土地がある。
昔は、六十を過ぎた老人は、みなこの蓮台野へ追いやられるならわしがあった。けれども老人たちは、ただ死を待つわけにもいかないので、昼間は里へ下りて畑仕事をし、食いつないでいた。
そのため今でも山口や土淵のあたりでは、朝、野良仕事に出ることを「ハカダチ(墓立ち)」、夕方、野良から帰ることを「ハカアガリ(墓上がり)」というそうだ。
*ダンノハナは「壇の塙(はなわ)」、つまり丘の上に塚を築いた場所だろう。境の神を祀る塚だと私は考えている。蓮台野も同じたぐいであることは『石神問答』で述べた。
※蓮台野は、いまは「デンデラ野」の名で知られる。